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公開日 2024.03.29 更新日 2024.10.09

インボイス制度がタクシー業界に及ぼした影響とは?

インボイス制度の開始は、タクシー業界にも大きな変革をもたらしました。

本記事では、インボイス導入からの半年を振り返り、タクシー業界がどのような対応をとったのかを解説します。
また、利用者向けに、インボイス登録している個人タクシーの見分け方も紹介するので、参考にしてください。

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インボイス制度とは

話を進める前にまず、インボイス制度の概要をおさらいしましょう。
2023年10月に始まったインボイス制度は、消費税の仕入税額控除の方式の一つです。
正式には「適格請求書等保存方式」といいます。

仕入税額控除とは、事業者が売上にかかる消費税を納める際に、仕入の時点で課されていた消費税額を差し引き、二重課税を解消する仕組みです。
インボイス制度の導入後は、買い手は売り手から発行されたインボイス(適格請求書)がなければ、仕入税額控除を受けられなくなりました。

このインボイスを発行できるのは、所轄の税務署に登録を済ませた「適格請求書発行事業者」に限られます。
適格請求書発行事業者に登録すると、頭にTがついた13桁の登録番号が与えられます。
この登録番号を含む必要事項が記載されている請求書でなければ、インボイスとして認められません。
当然、個人タクシーの場合も、インボイスを発行できるのは適格請求書発行事業者に限られます。

また、インボイス制度の影響を受けるのは、タクシー事業者だけではありません。
会社員が業務で利用したタクシーがインボイスに対応していなければ、仕入税額控除を受けることができないのです。
そのため、事業者側のみならず、利用者側もタクシーのインボイス対応について、意識する必要があります。

簡易インボイスとは

タクシー業など一部の事業者には、インボイスに代えて「簡易インボイス(適格簡易請求書)」の発行が認められました。

【簡易インボイスを発行できる事業者の例】

  • タクシー業
  • 小売業
  • 飲食店業
  • 旅行業
  • 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)

参照元:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」

簡易インボイスでは、通常のインボイスと比べて記載事項が簡略化されているため、事業者の負担が抑えられます。
両者の記載事項の違いは、次の通りです。

【インボイスと簡易インボイスの記載事項の違い】

インボイス 簡易インボイス
格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号 通常のインボイスと同様
取引年月日 通常のインボイスと同様
取引内容(軽減税率の対象品目である旨) 通常のインボイスと同様
税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)
税率ごとに区分した消費税額等 税率ごとに区分した消費税額等または適用税率
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 記載不要

参照元:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」

タクシーには不特定多数の人が乗車するので、毎回氏名や取引内容を記載するのは現実的ではありません。
そのため、通常のインボイスの記載事項を簡略化した、簡易インボイスが認められているというわけです。

タクシー事業者に向けた情報

ここからは、タクシー事業者のみなさまに向けて、インボイス制度が導入されてからの半年間の動きを総括してお伝えします。

インボイス制度導入がタクシー業界に与えた影響

導入前からさまざまな混乱が懸念されていたインボイス制度ですが、導入が正式に決定して以降、各業界はその対応を余儀なくされ、タクシー業界においても同様でした。

なぜなら、インボイス登録をしていないほとんどのタクシー事業者は、利用者が減少し、売上げが低下するおそれがあったからです。
それを受け、自交総連・東京個人タクシー労働組合は、施行直前になっても制度の中止を訴えていたほどです。

インボイスを発行できる適格請求書発行事業者に登録できるのは、消費税の課税事業者のみで、年間の売上が1,000万円以下の場合は、免税事業者に該当します。
もともと、個人タクシーの多くは免税事業者に該当していたため、そのままでいては大変なところでした。

免税事業者は、所轄の税務署に申請することで、課税事業者へと変更できます。
多くの個人タクシー事業者はこの対応をとり、消費税の納税義務が課される代わりに、適格請求書発行事業者に登録して、インボイスを発行できるようになりました。

インボイス制度導入を受けタクシー業界がとった対応

続いて、インボイス制度の導入を受け、タクシー業界がどのような対応をとったのかをまとめます。

①インボイス登録にかかる時間とコストの負担

個人タクシー事業者がインボイス制度に対応するには、時間やコストがかかります。
申請に必要な書類の準備や業務フローの見直しなど、こなさなければならない工程は少なくありませんでした。
また、適格請求書発行事業者の登録番号など、簡易インボイスに必要な情報を記載できるタクシーメーターやプリンターも必要です。

財務省では、インボイス制度の導入にあたって、補助金の拡充や税金・事務負担を軽減するための支援措置を設け、現在も対象期間となっています。

【財務省による支援措置】

対象になる方 支援措置 対象となる期間
免税事業者からインボイス発行事業者になった方 納税額を売上税額の2割に軽減する 令和5年10月1日~令和8年9月30日を含む課税期間
2年前(基準期間)の課税売上が1億円以下または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5千万円以下の方 1万円未満の課税仕入れについて、帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる 令和5年10月1日~令和11年9月30日

参照元:財務省「インボイス制度、支援措置があるって本当!?」

各種制度には対象となる期間が定められており、内容に変更がくわえられる可能性があります。
最新の情報は、財務省のホームページでご確認ください。

②迅速に進んだタクシーのインボイス対応

インボイス制度が導入されるまでは、会社員が業務でタクシーを利用する場合「3万円未満であれば、請求書を要せずに帳簿の保存のみでよい」という特例がありました。
しかし、制度改正以降は3万円未満であっても、インボイスを保存しなければ、仕入税額控除が認められなくなりました。

そのため、インボイスを発行できないタクシーは、そのままでいたら、利用者が大幅に減ってしまう可能性があったのです。
会社員が業務でタクシーを利用しようと目に留めても、インボイスを発行できないことがわかれば、それを理由にスルーしてしまうことが考えられたからです。

そのため、タクシー業界では制度導入にあたり、利用者がひと目で「そのタクシーがインボイス登録しているか」を見分けられるような対策を推進してきました。
同時に、インボイス登録していないタクシー事業者に対して、事業組合のなかでもタクシーチケット事業や配車アプリへの参加可否も議論されてきました。
これらによって、結果的に免税事業者の個人タクシーは続々とインボイス登録を済ませ、今に至っています。

タクシー事業者がインボイス制度を導入するメリット

タクシー事業者がインボイス登録して、どのような恩恵を受けられたのかについて振り返ってみましょう。

メリット①インボイスを発行できる

タクシー事業者が適格請求書発行事業者になることで、インボイスを発行できるようになりました。
まずは、このこと自体がメリットです。

先述の通り、2023年10月以降はインボイスを発行できないタクシーは利用者から選ばれなくなっていたはずです。
これがインボイス登録しているタクシーであれば、従来通り、業務で利用する会社員などから選んでもらえるとみられていましたが、事実そうなっているようです。

いずれ、すべてのタクシー事業者がインボイス対応を迫られるのは、間違いないでしょう。

メリット②消費税の還付を受けられる可能性がある

課税事業者は、支払った消費税額が受け取った消費税額を上回った場合、納税後に還付を受けられます。
ただし、消費税の還付を受けられるのは、消費税の納税方法に「原則課税方式」を選択している場合のみです。

消費税の納税方法には、一般的な原則課税方式のほかに、条件を満たすと選択できる「簡易課税方式」があります。
簡易課税方式では、売上にかかる消費税額に「みなし仕入率」を乗じることで納税額を算出します。

タクシー事業者がインボイス制度を導入するデメリット

インボイス制度の導入はメリットだけではなく、デメリットももたらしました。
これから適格請求書発行事業者への登録を進める方は、この点も理解しておきましょう。

デメリット①消費税の納付が必要になる

タクシー事業者がインボイスの発行事業者として登録するのは、免税事業者から課税事業者になるということですから、当然のことながら消費税の申告・納付義務が生じます。
免税事業者であれば、利益として受け取れていた消費税を手放さなければならず、これまでより、手元に残る金額が減ってしまいます。

とはいえ、インボイス制度に適応しなければ、これから利用者を獲得すること自体が難しくなっていたのも事実です。
利用者を失ってしまっては本末転倒なので、これはタクシー事業者が受け入れなければならなかったデメリットといえます。

デメリット②経理事務の負担が増える

適格請求書発行事業者になると、利用者に対してインボイスを発行することになります。
そのため、それまで使ってきた請求書の様式を変更し、業務フローを見直す必要がありました。

前述の通り、タクシー業界には、インボイスに代えて簡易インボイスの発行が認められています。
タクシーの領収書を簡易インボイスとして用いる場合、適格請求書発行事業者の名称や登録番号などを記載しなければなりません。

また、仕入税額控除の対象となる請求書を仕分けしたり、発行したインボイスの写しを保管したりと、制度前に比べさまざまな負担が生じているようです。

個人タクシーに求められる対応【インボイス登録の方法】

ここまでで説明した通り、個人タクシー事業者が免税事業者のまま営業を続けると、乗客から忌避されてしまうおそれがあります。
いまだ対応を決めかねている事業者がいましたら、早めに消費税の免税事業者から課税事業者へと変更し、さらに適格請求書発行事業者の登録手続きを済ませましょう。

個人タクシー事業者が適格請求書発行事業者になるには、所轄の税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。

【適格請求書発行事業者の登録申請方法】

  1. 「適格請求書発行事業者の登録申請書」に必要事項を記入する
  2. 免税事業者の場合は「免税事業者の確認」欄にも必要事項を記入する
  3. 所轄の税務署のインボイス登録センターに送付する

本来、免税事業者が課税事業者になるには、所轄の税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければなりません。
ただし、2029年9月30日までが属する課税期間中であれば、所定の手続きを踏むことで「適格請求書発行事業者の登録申請書」1枚でインボイス登録が完了します。
消費税の課税事業者と適格請求書発行事業者に同時になれるため、それぞれ別の書類を提出する手間が省けます。

なお、税務署に直接出向くなどして申請することはできません。
書類の郵送、またはパソコンやスマートフォンからe-Taxで申請してください。

タクシー利用者に向けた情報

業務でタクシーを利用する会社員にとっても、インボイス制度は気になるトピックです。
ここからは、タクシーの利用者に向けて、インボイス制度に関する有益な情報をお届けします。
もうご存じの方も多いことでしょうが、確認を兼ねてお読みください。

インボイス登録している個人タクシーの見分け方

利用した個人タクシーがインボイス制度に対応していなければ、かかったタクシー代に対して仕入税額控除を受けられません。
利用者としては、個人タクシーに乗り込む前に、インボイス登録しているかどうかをひと目で判断したいところです。

全国個人タクシー事業連合会および日個連事業協同組合では、ステッカーの貼付や表示灯(あんどん)の変更によって、インボイス対応の可否を示す取り組みを実施しています。
これらの組合に加盟する個人タクシーであれば、インボイス登録している場合は黄色、インボイス登録していない場合は白の表示灯を搭載しています。
すべての個人タクシーに当てはまるわけではありませんが、インボイス登録している車両を選ぶ際の目安になるでしょう。

参照元:国土交通省「インボイス制度に関する取組事例」

インボイス登録していない個人タクシーを利用したときの対処法

繰り返しになりますが、インボイス登録していない個人タクシーを利用したときの代金は、原則仕入税額控除を受けられません。
しかし、これまでの習慣が抜けずに、ついインボイス対応の有無を確認しないままタクシーに乗ってしまう事態も考えられます。

もちろん、インボイス登録しているタクシーを利用するのが一番ですが、誤ってそうではないタクシーに乗った場合でも、状況によっては控除を受けられます。
ここでは、インボイス登録していない個人タクシーを利用したときの対処法をケース別に見てみましょう。

ケース①出張で利用した場合

タクシーを利用したときの代金を経費として計上する際は、「交通費」または「交際費」に仕訳するのが一般的です。
ただし、出張中にタクシーを利用したケースに限っては「出張旅費等」とすることが認められています。

この出張旅費等は特例により、インボイスの保存を要せずに仕入税額控除を受けることが可能です。
会社が出張旅費規程を定めており、それに基づく範囲の額であれば、特例の対象である旨を帳簿に記載することで、全額が控除の対象となります。

なお、出張中に移動する場合は、できる限り電車やバスなどの公共交通機関を利用するのが望ましく、タクシーを使うことが適当と見なされなければ経費計上できません。

【出張中にタクシーを利用して問題ないシーン】

  • 目的地までの移動手段がタクシー以外にないとき
  • 業務中に終電がなくなったとき
  • 荷物などが多く、持ち運びが困難なとき

出張中にインボイス登録していないタクシーに乗った際は、出張旅費等に該当するかどうかを確認してみましょう。

ケース②出張以外で利用した場合

出張以外でインボイス登録していない個人タクシーを利用した場合でも、かかった代金に対する消費税の一部を控除することができます。
インボイス制度の開始から6年間は経過措置がとられており、インボイスを保管しない場合でも、一定の割合で仕入税額控除の対象となるからです。

【インボイス制度の経過措置】

2023年10月1日~2026年9月30日 免税事業者からの仕入税額相当額の80%を控除可能
2026年10月1日~2029年9月30日 免税事業者からの仕入税額相当額の50%を控除可能

 

参照元:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」Ⅳ-5 経過措置

なお、経過措置が終了する2029年9月30日以降は、インボイスを保管しなければ、仕入税額控除を受けることができません。

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